予防歯科が口臭対策に与えるプラスの影響

はじめに

「予防歯科は口臭対策に関係あるの?口臭は改善できるのかな?」自分の口臭について悩んでいる方は多く、何か口臭対策をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
予防歯科は、虫歯や歯周病などの口腔疾患を防ぐだけではなく、口臭を改善・予防します。

本記事では、口臭の原因や予防歯科がどのように口臭対策にプラスの影響を与えるのかを紹介していきます。口臭を改善したい、予防したいと考えている方は、是非とも最後までご覧ください。

口臭について

予防歯科が口臭対策に果たす役割とは?

予防歯科はお口の中の健康を維持し、口臭の原因を予防するために非常に重要な役割を果たしています。予防歯科とは、歯や歯ぐきの健康を維持し、虫歯や歯周病などの口腔疾患の問題の予防を目的としています。

口臭の主な原因は、お口の中の細菌や口腔疾患によるものが多いため、予防歯科の適切なアプローチで、お口の中の環境を維持・向上させることは口臭の予防・対策につながります。

そもそも口臭の主な原因とは?

口臭の原因は、一般的に生理的口臭と病的口臭の2タイプに分類されます。

生理的口臭

生理的口臭とは、健康な人にも見られる一時的な口臭です。主に飲食物の摂取やお口の中の衛生状態などによって引き起こされます。

例えば、ニンニクなどの食べ物や飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足、朝起きた直後などです。これらは一時的なものであり、しばらくすると自然に消えることが一般的です。

病的口臭

病的口臭とは、お口の中や全身に疾患がある場合に引き起こされる、持続的な口臭です。代表的な病的口臭の原因として、次のようなものがあります。

  • 歯垢(プラーク)の中の細菌がガスを発生させる
  • 歯周病・歯根炎などの感染症や炎症
  • 虫歯による腐敗臭
  • 消化器系の疾患や呼吸器関係の疾患による口臭
  • 糖尿病や肝臓疾患などによる口臭

特に歯周病によって、口臭が引き起こされるケースが多くあります。病的口臭は、歯磨きなどの基本的な口腔ケアだけでは解消しないケースが多く、原因となる疾患の治療やケアが必要です。

自臭症による口臭

口臭の原因になるお口の中のトラブル

口臭の原因になるお口の中のトラブルは次のとおりです。

  • 歯垢(プラーク)・歯石
  • 歯周病
  • 虫歯
  • 舌苔(ぜったい)
  • 口腔内乾燥

順番に説明します。

歯垢(プラーク)・歯石

歯垢(プラーク)とは細菌の塊です。食べかすが歯の表面につき、細菌が繁殖しています。プラーク1mgの中には1億個もの細菌がいるといわれています(※)。
細菌が食べかすを分解する過程でガス(硫化水素やメチルメルカプタン)を作りだし、魚や卵が腐ったような強い臭いが発生します。

プラークは時間が経つと固まり、歯石となります。歯石は表面がザラザラしており、さらにプラークが付着しやすく、虫歯菌と歯周病菌の温床の場所になります。

※参照:プラーク/歯垢(厚生労働省e-ヘルスネット)

歯周病

歯周病は歯肉の炎症が進行し、歯を支える骨が溶ける病気です。
歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなり、プラークや歯石がたまります。歯周病菌はより活発に活動し、悪臭を放つガスの生産量が増えます。

重度の歯周病になると、歯の根元あたりに膿の塊ができます。膿の塊はさらに強烈な臭いを放つため、膿による口臭も深刻です。

歯周病と口臭

虫歯

虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶けていく病気です。
虫歯の進行によって歯に穴があき、プラークや食べかすが詰まってしまい、細菌が増殖すると悪臭を放ちます。また重度の虫歯では、歯の神経の内部に膿がたまってしまい、その膿によって悪臭を発します。

舌苔(ぜったい)

舌苔とは、舌の表面に付着する苔状のものです。
舌苔は唾液の成分や食べかす、お口の中の粘膜がはがれたもの、細菌などが溜まって苔状になっています。舌苔は病気ではありませんが、口臭の原因です。

口腔内乾燥

唾液の分泌が減ると、お口の中が渇き口臭の原因になります。
唾液には殺菌作用があり、細菌の増殖を抑えます。唾液の減少は、加齢や薬の副作用、口呼吸、ストレスなどさまざまな原因があります。

予防歯科の取り組み

予防歯科は自宅で行う毎日のセルフケアと、定期的に歯科クリニックで行うプロフェッショナルケアを両立して進めます。
どちらか一方では、高い効果を得られないため、必ずセルフケアとプロフェッショナルケアの両方でアプローチすることが大切です。

どんなに丁寧に歯磨きをしても、口臭の原因となるプラークや歯石は落としきれません。歯科クリニックで専門の器具と薬剤を使い徹底的に清掃し、口臭の原因を取り除きます。また、虫歯や歯周病などを早期発見し治療できるので口臭のリスクを低減します。

歯科医師や歯科衛生士から、自分のお口の中の状態にあったアドバイスを受け、セルフケアとプロフェッショナルケアの両方で口臭の改善を図ります。

歯のクリーニング

予防歯科の取り組みが口臭対策に与えるプラスの影響

予防歯科の取り組みが口臭対策にどのようなプラスの影響を与えるのか紹介します。

お口の中の清潔の維持

予防歯科では日常的なセルフケアを重要視しています。お口の状況に合わせて歯ブラシや歯磨き粉、歯間ブラシ、デンタルフロス、舌ブラシ、口腔洗浄剤などのデンタルケアアイテムを使用してプラークを除去し、お口の中を清潔に保ちます。

定期的な歯科クリニックでのプロフェッショナルケアの際、歯磨き指導があります。プラークの部分に色がつく染め出し液を使用して、どこに磨き残しがあるのかを確認し、磨き残し部分のブラッシング方法などのアドバイスを受けられます。これによって、自分の歯磨きの癖を治し、磨き残しを減らせるでしょう。

お口の中の清潔を保つことは、細菌の増殖をおさえ、口臭の原因となる悪臭物質の発生を防ぎます。

歯周病と虫歯の予防

毎日のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアによって、歯周病と虫歯を予防し、進行を防げます。初期症状の歯周病は、症状があまり現れないことにより、気づかないうちに進行してしまい、気づいたときには炎症が強くなり、強い口臭を発することも。

虫歯の初期症状は痛みがなく、痛みが出たときはすでに進行しています。虫歯は痛みが出る前に発見し、治療を施すことが重要であり、歯科クリニックでの定期的な高濃度のフッ素塗布も虫歯予防に効果的です。

適切な予防歯科のアプローチにより、口臭の原因となる歯周病と虫歯を予防します。

生活習慣指導

予防歯科では、健康的な食事と生活習慣の指導が行われます。食生活によって口臭が影響を受けることがあります。例えば、糖分を多く含む食べ物や飲み物、ニンニクなどの強いニオイの食べ物が口臭の原因になることも。

生活習慣として、よく噛まずに食べることや喫煙、飲酒、ストレス、口呼吸などによって唾液の分泌が減ります。食生活や生活習慣の指導を受け、自分の生活を見直すことが口臭予防につながります。

虫歯になりやす人の特徴と原因

まとめ

口臭の原因となるプラークは、毎日のセルフケアでプラークを取り除くことが大切です。また、セルフケアでは取り除けないプラークや歯石は、歯科クリニックでプロによるケアを受けなければ取り除けません。

歯周病や虫歯などの口腔疾患が原因で強い口臭がある場合、自宅で行う歯磨きだけでは治らないため、歯科クリニックでの治療が必要です。

予防歯科のセルフケアとプロフェッショナルケアを両立して継続すると、お口の中の環境は整い、口臭を改善・予防します。口臭について悩んでいる方や予防歯科に興味があると考えている方は、是非とも歯科クリニックで相談してみましょう。