虫歯予防どんな方法がある?

虫歯予防を知って、歯を守ろう!

「できるだけ虫歯になりたくない」ほとんどの方がそう思っていることでしょう。

しかし、20歳以上の国民の9割が虫歯になった経験があるのが現状で、まだまだ「国民病」といわれるような状況です。20歳以上のうち3割の人は、治してない虫歯があるといわれています。

今回は、虫歯予防方法にはどのようなものがあるのか、自宅でできること・歯科医院で行うことに分けて詳しく解説します。

予防歯科とは

予防歯科とは、虫歯になってから治療をするのではなく、虫歯になる前の予防を積極的に行うことです。 予防歯科が盛んになってきた近年では、子供の虫歯は徐々に減ってはきているものの、まだまだ虫歯にかかる子供が多く、虫歯が多い子供と少ない子供の格差が出てきています。

また予防歯科を実践している人は、予防歯科先進国のスウェーデンが約69%なのに対し、日本は26%とまだまだ少ないのが現状です。

虫歯は不可逆生疾患といわれていて、元に戻ることがない病気です。虫歯になってしまうと、治療をしない限り、段々と進行して大きくなってしまいます。一度虫歯になって治療をすると、その部分が再び虫歯になってしまうことも多く、繰り返すことで自分の歯がどんどん少なくなってしまうケースも多くみられます。
一番良いのは、「虫歯にしないこと」です。そのための予防歯科を積極的に行っていけると良いですね。

予防歯科

虫歯の原因

予防歯科を始める前に虫歯の原因を知っておきましょう。
虫歯の原因は、一つではありません。「虫歯菌」「甘いものの摂取」「歯の質」などの要素が関わり合い、虫歯が発生してしまいます。

虫歯の3つの原因について、それぞれ説明します。

1.虫歯菌

虫歯の原因の一つ目は、ミュータンス菌などの虫歯菌です。

虫歯菌は「プラーク」という集まりを作って、歯の表面に付着し、糖質を取り入れて「酸」を産生します。その酸が、歯を溶かしてスカスカにしてしまいます。
虫歯菌に対しては、歯磨きが最も有効です。

2.糖質

虫歯の原因の2つ目は、糖質です。飲食物に含まれている糖質(特に砂糖)を材料に虫歯菌は酸を作り出します。

甘いものを摂取する回数が多い人やダラダラと甘い飲食物を飲んだり食べたりする習慣がある人は、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯になりやすくなります。甘いものを摂取する回数が多い人・時間が長い人は、時間を決めて食べるなどの工夫が必要です。

3.歯の質

虫歯の原因の3つ目は「歯の質」です。お口の中の環境には、個人差があります。

「歯の質」も個人差があり、歯自体が虫歯菌の出す酸に弱い場合または強い場合があります。
特に乳歯や生えたばかりの永久歯は、歯の表面が未熟で柔らかく、虫歯になりやすいため、注意が必要です。
「歯の質」を強くして虫歯のリスクを減らすためには、歯を強くする「フッ素」塗布が効果的です。

虫歯の主な原因4選

虫歯予防の考え方

虫歯を予防する場合には、ここまでに挙げた虫歯の原因を取り除くことが近道ですが、それらを完全に取り除くことは不可能です。
完全に虫歯菌を取り除くことも難しく、甘いものを完全に控えることも難しいでしょう。

これらの原因に効果的な自宅でできる虫歯予防法と歯科医院で行う虫歯予防法について、詳しく紹介します。

虫歯予防について考える

自宅でできる虫歯予防法

虫歯予防は、毎日の歯磨き習慣など、自分自身で行う日々のケアが重要になります。
虫歯は毎日の生活習慣が関係している生活習慣病だともいえるでしょう。

毎日の丁寧なブラッシング

毎日の丁寧なブラッシングが大切です。歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシなどの清掃補助用具を使って丁寧に磨きましょう。

自己流の歯磨きではどうしても「磨き癖」があり、磨き残しを作ってしまいがちです。時々、歯科医院でブラッシング指導を受けることをおすすめします。

お子様がいる場合には、必ず仕上げ磨きをしてあげましょう。仕上げ磨きは基本的に毎日必要です。
小学生くらいになると自分でできることが増えるため、仕上げ磨きをやめてしまう方もいますが、乳歯から永久歯への生え変わりもあるので、小学校4年生くらいまでは行うようにしましょう。

フッ素入り歯磨き粉の利用

毎日のブラッシングでは、フッ素入りの歯磨き粉を取り入れてみましょう。
フッ素は、歯の表面のエナメル質を酸に溶けにくい構造に変化させます。

フッ素の作用とは

フッ素の作用をまとめると次の3つになります。

・歯質強化作用
歯の表面のエナメル質の構造である「ヒドロキシアパタイト」が、酸に溶けにくい「ハイドロキシアパタイト」に変化します。

・再石灰化作用
歯から溶け出したリン・カルシウムを再び取り入れます。

・抗菌作用
虫歯菌の働きを弱くします。

フッ素入り歯磨き粉の選び方

フッ素入りの歯磨き粉を使用することで、虫歯から歯を守るフッ素の作用が働きます。歯磨き粉のフッ素含有量は、厚生労働省で1500ppm※1まで認可されています。

引用元:1フッ化物配合歯磨剤(e-ヘルスネット:厚生労働省)

推奨されている歯磨き粉のフッ化物配合濃度と使用目安は次のとおりです。
・歯が生えてから2歳くらいまで 900~1,000ppmFの歯磨剤を米粒(1~2mm)程度
・3歳〜5歳くらいまで 900~1,000ppmFの歯磨剤をグリーンピース程度(5mm)程度
・6歳〜成人まで 1,400~1,500ppmFの歯磨剤を歯ブラシ全体(1.5~2cm)程度

ブクブクうがいができるまでは、歯ブラシの先に米粒程度の大きさの歯磨き粉をつけ、歯全体に塗るようにして使用するのも良いでしょう。
ドラッグストアなど市販のものを購入する場合には、歯磨き粉のパッケージに記載されていることも多いので、フッ化物配合濃度の目安を参考に購入するようにしましょう。
難しい場合には、歯科医院でフッ素入りの歯磨き粉を購入すると安心です。

虫歯の予防にかかせない習慣

食生活の見直し

糖質は虫歯菌の餌になります。

糖が含まれているものをダラダラちょこちょこと時間を空けずに食べるのは、一番危険です。歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯になりやすくなります。
間食の回数が多い人は、時間を決めて食べるように見直しましょう。


飴やガムなどを食べる習慣のある人も要注意です。砂糖(ショ糖)などが配合されているものは虫歯リスクが高くなります。キシリトール100%のガムであれば、虫歯菌の餌になることがないのでおすすめです。
また、水分補給に砂糖が含まれたものを飲んでいる場合には、お水かお茶にするように切り替えていきましょう。甘い飲み物は「おやつ」のカテゴリーとして認識しておくと良いでしょう。

歯科医院で行う虫歯予防

自宅でのケアと合わせて、歯科医院での虫歯予防ケアを受けましょう。
自宅ではケアしきれない部分まで手が届き、より虫歯予防に効果的です。

PMTC

PMTCとはプロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略で、歯科医院で専用の器械を用いて行う歯のクリーニングのことを指します。
専用の研磨剤をつけて、ポリッシングブラシというブラシのチップやゴムのチップを使って、歯の表面に付着したプラークやバイオフィルムという細菌の集合体を破壊し、除去していきます。

普段の歯磨きでは除去しきれない細かな汚れも除去することができます。
また施術後は、歯の表面が滑らかになり、汚れがつきにくくなります。

フッ素塗布

歯科医院で行う「フッ素塗布」では、歯磨き粉に含まれているフッ素よりも高濃度のフッ素を塗って歯に作用させます。
3〜4ヶ月に1回フッ素塗布を受けることで、虫歯予防効果が高まります。自宅でフッ素入り歯磨き粉を使用している場合も併用して問題ありません。

シーラント

奥歯の溝の部分にプラークが溜まらないよう、予防的に薄く樹脂を流して固める処置です。
主に乳歯の臼歯や6歳頃に生える永久歯「6歳臼歯」に応用されます。

奥歯には「裂溝(れっこう)」という溝がありますが、特に乳歯や生えてきたばかりの永久歯は、溝が深く形が複雑な場合も多く、虫歯のリスクが高いためシーラントを行います。

歯ブラシの毛先よりも細く深い裂溝も多く、そのような部位は、いくら歯磨きをしても十分に汚れを除去することができません。そこでシーラントを応用させることで虫歯のリスクを減らすことができるのです。

ブラッシング指導

毎日丁寧に歯磨きをしていても、誰しも「磨き残し」ができてしまいます。
知らず知らずのうちに自己流の磨き方になり、磨き癖が出てきてしまうためです。

効率よく汚れを落とすためには、時々歯科医院のブラッシング指導を受けることがおすすめです。

歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシの効率的な使い方をマスターしましょう。
また、電動歯ブラシを普段使用している人でも、持参すればブラッシング指導を受けることができます。

歯のクリーニング

定期検診に行きましょう

自宅でできる虫歯予防、歯科医院でできる虫歯予防について解説しましたが、歯科医院に定期検診に行くこともとても大切なことです。
いくら虫歯予防を注意して行っていても、自分の目では行き届かないところがあります。虫歯も初期の段階で発見し、早めに治療をすれば、負担の少ない治療で済ませることができます。

定期検診を、歯科医院での虫歯予防処置と合わせて、受診すると良いですね。

まとめ

虫歯の予防には、自宅で行うケアと歯科医院で行うケアがあります。どちらかだけでは不十分です。両方を行っていくことが、虫歯予防には効果的です。

虫歯は一度罹患してしまうと、治療をしても再びそこから虫歯になってしまうことも多く、治療のサイクルを辿ってしまうことが多くあります。そうなると段々と自分の歯の部分は減ってしまい歯の寿命が短くなってしまうことが考えられます。

虫歯になってから治療をするのではなく、できるだけ虫歯になる前に予防をしていく「予防歯科」を習慣にしましょう!