歯石とはプラークが石のように硬くなったものです。プラークとは細菌のかたまりで、1mgあたりに約1億個もの細菌が存在しています。白くネバネバしており、食後8時間ほどで形成されて歯に付着します。
プラークは歯磨きによって取り除かれますが、歯磨きが不十分な場合は口腔内に残ります。
口腔内に長時間プラークが付着していると、唾液の成分(カルシウムやリン酸)がプラークに付着して2日ほどでかたまりはじめ、2週間ほどかけて石のように硬くなり歯石ができます。
歯石とは何なのか疑問に感じていませんか?歯石は気づいたときには歯に付着していて、このまま放置してよいのか不安になりますよね。歯石は完全には防げませんが、予防する方法や除去する方法があります。
本記事では歯石について疑問に感じている方へ向けて、歯石がもたらすリスクや除去方法、予防方法などについて詳しく解説しています。是非ともこの記事を参考にしてください。
歯石とはプラークが石のように硬くなったものです。プラークとは細菌のかたまりで、1mgあたりに約1億個もの細菌が存在しています。白くネバネバしており、食後8時間ほどで形成されて歯に付着します。
プラークは歯磨きによって取り除かれますが、歯磨きが不十分な場合は口腔内に残ります。
口腔内に長時間プラークが付着していると、唾液の成分(カルシウムやリン酸)がプラークに付着して2日ほどでかたまりはじめ、2週間ほどかけて石のように硬くなり歯石ができます。
※40代・男性:喫煙習慣ありの患者さま
参考:プラーク/歯垢(厚生労働省e-ヘルスネット)
参考:歯石(厚生労働省e-ヘルスネット)
歯石は、歯ぐきより上の歯の表面についている歯石(歯肉縁上歯石)と、歯ぐきよりも下の部分の歯についている歯石(歯肉縁下歯石)があります。
歯ぐきより上についている歯石は、白や黄色っぽい色をしており、比較的簡単に除去できます。
歯ぐきより下の歯石は、歯周病が進行した場合に付着します。歯周病の進行によって、深くなった歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)にプラークが入り込んで歯石ができます。歯ぐきより下の歯石は黒っぽい色で硬いことが特徴です。歯ぐきより下についているので、取り除くことが難しく痛みが伴います。
歯石がつきやすい場所は、唾液腺の開口部の近くである下の前歯の裏側と、上の奥歯の表側です。
下の前歯の裏側は自分でも見られるので、歯石がついていると気づくでしょう。上の奥歯は自分ではなかなか気づきにくい、歯磨きがしにくい場所なので、どうしてもプラークが残りやすく歯石がつきやすい場所です。
歯石を放置したままにすると、次の4つのデメリットがあります。
1、虫歯になりやすい
2、歯周病のリスクが高まる
3、口臭の原因になる
4、着色して見える
順番に説明します。
歯石自体が虫歯を引き起こすわけではありませんが、歯石の表面はデコボコしており、プラークが付着します。プラークの中で増殖した虫歯菌は、口腔内の糖分をエサにして酸を作り出します。酸により歯が溶けると、歯に穴があき虫歯となります。歯石とプラークは細菌の温床なので、取り除かなくては虫歯のリスクが高まります。
歯周病は細菌の感染によって炎症が引き起こされ、歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。歯周病の原因はプラークの中にいる歯周病菌です。
歯周ポケットにできた歯石は歯周病菌の温床になり、歯周病の進行を促すので、最悪の場合歯がグラグラになって抜けてしまいます。歯ぐきより下の歯石は、自分で見えないので気づかず、気づいた頃には歯周病が進行してしまうケースもあります。
歯周病のリスクプラークに含まれている細菌が、食べかすなどのタンパク質を分解するときに、ガスを発生させます。このガスは、温泉のガスのような臭いや卵、玉ねぎ、魚が腐ったような臭いと表現されることもあります。
歯石を取り除かなければプラークが付着するので、次第に強い口臭がするようになるでしょう。
歯石は白や黄色っぽい色をしていますが、色素の強い飲食物の影響で着色してしまい、黄ばんで見えます。プラークも同様、色素の影響で黄色っぽくなるので、歯が黄ばんで見えます。
歯の黄ばみの原因歯に付着した歯石は、歯磨きでは取り除けないため、歯科医院でクリーニングを受ける必要があります。専門器具を使用して歯石やプラークを除去します。歯や歯ぐきはとてもデリケートなので、プロによるケアが必須です。
自分で歯石を取ろうとすると、歯や歯ぐきに与えるダメージが高いため、おすすめしません。爪楊枝や自分の爪、フォークなどで触らないよう注意しましょう。
市販で歯石をとる道具が販売されていますが、使うと歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。結果として、歯にヒビが入ってしまったり、歯ぐきの傷から感染症に感染したりするなどの状況を招くリスクがあります。
歯のクリーニング歯を磨いても100%プラークを除去できないので、歯石はついてしまいます。しかし、歯石がつきにくくなるように、プラークの除去率を上げていくことで予防できます。歯石がつきにくい口腔内の環境は次の6つに注意しましょう。
1、毎食後の歯磨き
2、歯間ブラシやデンタルフロスを使う
3、ガムをかんで唾液の分泌を促す
4、ダラダラと飲食しない
5、たばこを吸わない
6、歯科医院でクリーニングを受ける
一つずつ説明します。
プラーク除去の基本は、毎食後の歯磨きです。歯の裏側や奥歯、歯が重なっている部分は磨きにくく、プラークが残りやすい場所です。
歯石がつきやすいので意識して磨きましょう。歯ブラシを小刻みに動かすと、汚れを除去できます。
歯と歯の間と歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシが届きにくいため、プラークや歯石がつきやすい場所です。歯間ブラシやデンタルフロスを併用すると歯ブラシが届かない部分の汚れを除去できます。
毎食後に歯間ブラシやデンタルフロスの使用は難しいかもしれませんが、1日1回は使用しましょう。特に寝ている間は、唾液の分泌量が減り細菌が増殖しやすいので、夜の歯磨きでは歯間ブラシやデンタルフロスも併せて使用することをおすすめします。
唾液には殺菌作用や口腔内の汚れを洗い流してくれる役割があります。そのため、唾液の分泌量が増えれば、口腔内の汚れを洗浄してくれます。
糖分を含んだガムは、虫歯の原因になるのでキシリトールやフッ素が配合されたガムを選択しましょう。歯科専売品には、キシリトール100%のガムがあります。10〜20分ほどガムをかみ、唾液の分泌を促しましょう。
食事や間食の時間を決めずにダラダラと食べ続けるとプラークが溜まりやすく、歯石の原因になります。また、口腔内が酸性に傾く時間が長くなってしまい、虫歯のリスクも高まります。食べる時間を決め、食べ物が口腔内に入らない時間帯を作りましょう。
たばこの煙に含まれている成分のタール(ヤニ)によって、歯石がつきやすい環境を作ります。タールは粘着性があり、歯の表面に付着して歯石を作る土台になってしまいます。歯の健康を維持するためには、たばこは極力控えるか、禁煙しましょう。
プロによるクリーニングでは、自分では取りきれないプラークや歯石を全て除去します。これにより本来の自分の歯の色を取り戻し、表面はツルツルになります。プラークはザラザラした場所に付着するため、クリーニングを受けるとプラークや歯石、着色がつきにくくなります。
「歯石があまりついてないから、クリーニングはまだ行かなくてもいいかな」と自分で決めてしまうことはリスクがあります。歯石は歯周ポケットの中にも隠れているので、ついているかどうかは自分では確認できません。放置してしまうと、前の項目で紹介したさまざまなリスクが高まります。
そのため、歯科医院でのクリーニングは定期的に受けるよう、スケジュールするのがおすすめです。
歯科医院のクリーニングでは、口腔内の状況を確認し、プラークや歯石、着色を除去します。クリーニングの内容は次のとおりです。
クリーニングの頻度は、それぞれ口腔内の状況が異なるので断言できませんが、目安は3ヵ月に一度といわれています。口腔内の清潔が保てない人や虫歯や歯周病のリスクが高い人、着色しやすい人、歯石がつきやすい人などは、クリーニングの頻度を早めます。
自己判断ではなく、歯科医師や歯科衛生士と相談して決めましょう。
クリーニングでの歯石やプラークの除去は、予防歯科の取り組みです。予防歯科とは、歯や歯ぐきの健康を維持し、虫歯や歯周病などの問題を未然に防ぐことを目的としています。歯科医院と連携して、自宅での適切な歯磨きと定期的なクリーニングを継続します。
プラークや歯石の除去は、虫歯や歯周病のリスクを低減し、長期的なお口の健康を促進します。定期的なクリーニングによって、虫歯ができていた場合も早期に発見することができれば、重症化する前に治療できます。
プラークや歯石の除去は、虫歯や歯周病のリスクを低減し、長期的なお口の健康を促進します。定期的なクリーニングによって、虫歯ができていた場合も早期に発見することができれば、重症化する前に治療できます。
クリーニングへ定期的に通うことは、費用を負担に感じるかもしれませんが、虫歯や歯周病が進行してしまった場合の治療にかかる負担(費用・時間)は、さらに大きくなります。
結果的に定期的なクリーニングは、歯科治療費の削減へとつながります。
歯石は細菌のかたまりであるプラークが石のように固まったものです。口腔内の全てのプラークを取り除くことは難しいため、歯石を完全に防ぐことはできませんが、つきにくい口腔内環境を作ることは可能です。毎日の歯磨きでは、歯石のつきやすい部分も意識して磨きましょう。
歯石は自分では除去できないので、歯科医院の専門器具を使用して除去する必要があります。歯ぐきで隠れて見えない部分にも歯石はついているので、クリーニングをスケジュール化して定期的に受けましょう。