よ唾液は、通常時には虫歯から歯を守るために分泌されるものです。しかし、運動中は、主に口呼吸になることや全身が脱水状態になります。また、緊張したときに口が渇いた経験があると思いますが、スポーツ時の緊張状態も、同様に口が渇いてしまいます。そのような状態から、口の中が乾燥してしまい、唾液が減ってしまうのです。
唾液が減ってしまうということは、歯を守る分泌物が減少した状態ということです。スポーツは歯にとって、リスクのある状態であるということを知っておきましょう。
スポーツ選手がパフォーマンスを最大限に発揮するために、“歯の噛み合わせ”が非常に重要と言われています。スポーツをしているときに、歯をグッと噛み締めた覚えのある方は多いでしょう。
さらに一流のスポーツ選手になると、歯にまつわるエピソードもあります。“世界のホームラン王”こと元プロ野球選手の王貞治さんは「奥歯が削れてほとんど無かった」という逸話の持ち主です。最大限のパフォーマンスを出すために、歯が削れるほどに噛み締めていたということがよくわかります。
一方、スポーツ選手には虫歯が多いというデータがあります。スポーツは身体に良いというイメージがありますが、虫歯を誘発するという驚きの情報を、多くの歯科医師が呼びかけているのです。大事な試合で虫歯が痛み、パフォーマンスが発揮できなければ悔いが残ってしまいますよね。そこで、スポーツ選手に虫歯が多い理由とその解決策を紹介していきます。
スポーツ選手には虫歯が多い？
「スポーツと虫歯」と聞いて、意外な関係性だと思うことでしょう。しかし、実際にバレーボール日本代表の歯科検診では、一般の人と比較して2から3倍も虫歯経験者が多いというデータがあります。
また、虫歯だけに止まらず、限界までトレーニングを積むスポーツは免疫力が低下し、歯ぐきが感染症にかかりやすくなるというデータもあります。実際に、フルマラソンをおこなった後、インフルエンザなどに感染しやすくなるという報告があるのです。
それだけ、スポーツと歯は密接な関わりがあることをデータが証明しています。紹介したデータはトップアスリートのものですが、実際に一生懸命スポーツに取り組んでいるアマチュア選手も、以下の理由を見れば「自分も気を付けなければならない」と感じることでしょう。
虫歯治療についてスポーツ選手に虫歯が多い3つの理由
では、なぜスポーツ選手には虫歯が多いのでしょうか。各歯科医師の見解をまとめると、大きく分けて3つの理由に分けられます。1つずつ解説していきます。
1.運動中の唾液減少
2.スポーツ飲料などの摂取
スポーツ時には、水分補給と同時に必要なエネルギーが摂取できる“スポーツドリンク”や“補助食品”など、比較的甘い飲食物を摂取することが多いでしょう。しかし、このような飲食物には、思っている以上に糖分が含まれ、歯に付着しやすいという性質をもっています。もちろん、スポーツ時の水分摂取などは必要不可欠ですが、摂取後のケアが重要となるのです。
熱中症予防や低血糖の予防にも欠かせないスポーツ時の飲食物は、摂取した後に口の中をゆすいだり、水を飲んだりすることで、糖分の付着を防ぐことが重要になります。
3.歯のくいしばりによる欠損
スポーツをしている時、無意識に歯を食いしばる経験を持つ人は多いでしょう。負荷のかかるスポーツでは、その食いしばりから歯が欠けてしまったり、ヒビが入ってしまったりと歯にダメージを負わせてしまうことがあります。そのような歯のダメージに対して虫歯菌が浸食してしまい、虫歯に感染してしまうのです。
食いしばることの多いスポーツでは、適切な保護が重要になります。
スポーツ選手の虫歯を解決するには
ここまで、スポーツと虫歯の関係性を説明してきましたが、実際に解決するにはどうすればいいのでしょうか。まず、「スポーツ選手は日頃の歯のケアが大切」ということを認識することです。
スポーツ選手にとって、歯は非常に重要です。最大限のパフォーマンスを発揮するためには、健康な歯で上下の歯をバランス良く噛み締められる状態が重要と言われているためです。
最近のスポーツ中継を見ていると、選手の歯からマウスピースが見えることがあります。マウスピースで歯の噛み合わせを良くしたり、歯が削れないようにケアをしたりすることが目的です。それほどスポーツ選手にとって歯は重要な役割を果たしているのです。
虫歯の予防にはこまめなブラッシングとマウスピースなどによる保護が大切です。ブラッシングとはつまり歯磨きのことですが、3食の食後以外でもこまめに歯磨きをしましょう。日頃のケアをしっかりとおこない、体のケアの一環として歯のケアをすることが重要です。
ナイトガードについてまとめ
スポーツと虫歯という、あまり馴染みの無い関係性に驚いた人も多いでしょう。決してスポーツが悪い訳ではありません。しかし、スポーツの前後に身体のケアをするように、“口の中”もケアすることがパフォーマンスの向上や維持のために重要なのです。
