虫歯は痛くなる前の治療が重要

痛くない虫歯、
痛くなる前の治療が重要

近年、日本でも予防歯科の意識が高まりつつあるものの、虫歯があっても痛みがなければ放置しがちです。

もし「痛くない虫歯」だからといって虫歯を放置してしまうと、気づかないうちに進行してしまう可能性があります。最初は痛みがなかったとしても、いざ痛みが出たときには歯の神経にも及ぶような大きな虫歯に進行してしまっていることもあるのです。

そのため、虫歯で痛みが出る前に早期に治療を行い、そして予防することがとても重要です。
今回は、この「痛くない虫歯」を放置するリスクについて詳しくご説明します。「痛くない虫歯の対策」についてもご紹介しますので、お口の中に放置している虫歯があるという方は、ぜひ本記事をご覧ください。

痛くなければ安心?
「痛くない虫歯」も
進行するリスクがある

虫歯に痛みがないからといって、安心はできません。なぜなら、「痛くない虫歯」でも気づかないうちに進行してしまうリスクがあるからです。
初期の虫歯の段階では、歯の表面にあるエナメル質という部分だけが虫歯になっている状態です。このエナメル質はとても硬い組織で、歯をしっかりと守っています。そのため、この段階では強い痛みはなく、冷たいものがしみる程度で虫歯の進行には気づきにくいのです。
また、虫歯は歯の見えるところにできるばかりではありません。見えにくい歯と歯の間にもできやすいので気づきにくく、非常に厄介です。

痛みが出るまで放置したら…
虫歯が神経まで達する危険も

では、もし痛みが出るまで虫歯を放置してしまうとどうなるのでしょうか?
虫歯がエナメル質を越えると、象牙質、歯の神経(歯髄)へと虫歯は進んでいきます。そして虫歯が神経に近づくほど、強い痛みを引き起こします。ここまで虫歯が進んでしまうと、大きく歯を削って虫歯を治す必要があり、最悪の場合は歯の神経を失う可能性もあります。

虫歯で神経を失っても、歯にかぶせ物をすれば、噛めるようになります。しかしながら、歯の神経を失うデメリットは非常に大きく、歯に栄養を届ける大切な組織である歯の神経を失うと、歯はもろくなってしまうのです。
また、歯の神経を失うと痛みを感じなくなるため、虫歯になっても気づきにくく、今度は歯を失うリスクが上がるなど、さまざまなトラブルが起こりうるのです。

痛くなる前に治療しておこう!
歯科医院での定期的な
検診が重要

虫歯が進行しているかどうかは、ご自身で見分けるのは非常に難しいです。そのため、痛くなる前に、歯科医院で定期検診を受けて、虫歯の早期発見・早期治療を心掛けましょう。
もし虫歯の早期発見ができれば、虫歯で歯を削る量を少なくできますし、初期虫歯であれば定期的なフッ素の塗布やクリーニング、糖質の摂り方等の食育指導などで、虫歯予防を行って経過観察していくことで、歯を削らずに済む可能性もあります。

歯は削るたびにもろくなり、歯の寿命は短くなってしまいます。そのためできる限り歯を削らず、予防していくことが大切です。ご自身だけでは虫歯には気づきにくいですが、定期的に検診を受けることで、結果的に虫歯で歯を削ったり、歯を失ったりするリスクを軽減できます。

予防歯科

虫歯の進行は日々の歯磨きだけでは予防は難しい?

虫歯が進行しないようにできることをしたいと、歯磨きを頑張るという方もいらっしゃるかと思います。確かに虫歯のはじまりは、プラーク(歯垢)です。そのため、歯磨きでのセルフケアを丁寧に行うことは、とても大切です。

しかしながら、自分では完璧にお手入れができていると思っていても、歯磨きの癖や、歯並びの状態などによって、磨き残しが出てしまうものです。その溜ったプラークが悪さをして、虫歯を作ってしまうのです。
ただし、虫歯の原因は、歯磨きの悪さだけではありません。

たとえば、

  • よく間食をする
  • 糖質の多い食べ物をよく食べる
  • 口の中が乾きやすい
  • 口呼吸をしている
  • 唾液の緩衝能が低い(口の中を中和する唾液の作用)
  • 歯並びがガタガタ
  • 噛み合わせが悪い
  • ストレスが溜まりやすい
  • 寝不足

など、あらゆることが虫歯のリスクを高める可能性があります。そのため、ただ歯磨きを頑張っただけでは、虫歯の進行を抑えることが難しい場合もあるのです。

まとめ

治療が終わったら予防が大切!
定期的にアドバイスを受けよう!

ここまでお話したように、虫歯の原因には歯磨きの仕方や食生活、歯並び、唾液やストレスなど、さまざまなことが関係しています。そのため、虫歯の治療が終わったら、今度は虫歯にならないように、一人ひとりに合わせた「虫歯予防」の対策が必要です。

歯科医院では、歯科医師が虫歯の再発がないかチェックしたり、歯科衛生士が歯磨きの仕方をご説明したり、ご自身では取り切れないプラークや歯石などを除去いたします。
また、必要に応じて糖質の摂り方や、虫歯予防にも役立つ唾液を出しやすくするための噛み応えのある食事メニューや、噛みやすくするための噛み合わせの対策など、一人ひとりのリスクや生活習慣に合わせた対策をご説明いたします。

虫歯は歯を失う大きな原因のひとつです。虫歯を予防して健康な歯を多く残すことができれば、生涯自分の歯でおいしく食事ができ、自分の歯でしっかり噛めることで肥満防止や、脳の活性化なども期待できます。
痛くないからといって虫歯を放置するのではなく、定期的に検診を受け、健康な歯を保つよう心がけましょう。