虫歯になりやすい歯って?

虫歯になりやすい歯って?

歯の硬さってどのくらいかご存知でしょうか。
骨の中で一番太い大腿骨くらい?それとも大切な頭を守る頭蓋骨くらい?
歯の一番外側を覆っているエナメル質は、骨よりも硬く、さらには鉄よりも硬いのです。
そんな硬いエナメル質を溶かしてしまうのが、虫歯です。

鉄よりも硬い歯を溶かす虫歯って?

虫歯菌(ミュータンス菌)は、私たちが口にした食べ物の中の糖分を栄養とし、酸を作り出し歯を溶かそうとします。歯は酸に弱く、酸にさらされる時間が長いと、歯を自発的に直そうとする力(再石灰化)が失われ、どんどん歯が溶けて(脱灰)しまうのです。歯が溶かされる(脱灰)のと、歯の修復(再石灰化)のバランスが傾くと、どんどん虫歯が進行してしまいます。言い換えると、脱灰と再石灰化のバランスが良ければ、虫歯になることはありません。

脱灰に拍車をかけてしまうのが、細菌の塊です。一度は耳にしたことがあるとは思いますが、細菌の塊をプラークと呼びます。プラークはうがいだけでは除去することができません。歯の表面にこびり付いてしまい、しっかりと歯ブラシや、補助的な清掃用具も用いて清掃しなければならないのです。つまり、日々のブラッシングを疎かにしていると、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、どんなに硬い歯でも虫歯になるリスクが高くなるということです。

虫歯治療

二次虫歯とは?

歯科医院で虫歯の治療を終えたのに、また同じ歯が虫歯になったことはありませんか。「ちゃんと磨いているはずなのに」と不安なお気持ちになったかもしれません。 実は、一度治療した歯は虫歯になりやすいのです。つめ物などの人工物は劣化し、形を変えるためです。噛みしめにより金属が摩耗したり、銀歯を接着するセメントが劣化しすり減ったりして、元々は無かった段差など形の変化が生じてしまいます。その隙間から虫歯菌が侵入することが多くあります。

このように、一度治療したつめ物やかぶせ物の下が再び虫歯になることを二次虫歯と言います。二次虫歯はご自身で発見することが困難です。定期的に歯科医院でメンテナンスを行っていない方は、痛みが出てから気づく場合が多いでしょう。治療となると、前回治療のために削って詰めた部分を再び削って取り除き、新たに虫歯になってしまったところをさらに削らなければなりません。元々の虫歯が神経から近かった場合は、二度目の治療では神経を取る処置になる可能性も高いです。

治療をした歯が多い方や、気になる歯がある方は、フロスを使って簡易的セルフチェックをしてみてください。フロスが引っかかったりほつれる場合、二次虫歯の可能性が考えられます。一度受診されることをおすすめいたします。

要の歯は虫歯になりやすい

6歳臼歯(ろくさいきゅうし)は字の通り、6歳頃に生えてくる臼のような形の大きな奥歯です。はえたばかりの6歳臼歯の歯質はまだやわらかく、歯ぐきがかぶさっている状態なので汚れが溜まりやすいです。また、噛む面の形態も溝がはっきりしており食べ物が停滞しやすい形なので虫歯になりやすい傾向にあります。
はえる場所も前歯から数えて6番目と、かなり奥で清掃しにくい位置です。低年齢ではえてくるので、子ども自身もはえたことに気づきにくく、また保護者も目視しにくいので、大きな穴が開き痛みも出てきてから初めて虫歯に気づく場合も多いです。
6歳臼歯に虫歯がある小学生は、全体の約80~90%と言われています。それだけ虫歯のリスクが高いということです。

この6歳臼歯は、歯の王様とも呼ばれます。
歯の中で一番大きな6歳臼歯は、噛み食いしばる力がとても強い歯です。そして、歯を食いしばることは全身の力を使うことに大きな役割を果たしていると言われています。そのため、6歳臼歯を失った場合、咀嚼(そしゃく)効率が2/3以下に落ち消化不良を起こしたり、噛み合わせのバランスが崩れ、全身にまで悪影響を及ぼしかねません。
6歳臼歯を虫歯にさせないためには、シーラントとフッ化物塗布の2つがあります。シーラントとは、6歳臼歯の噛む面にある深い溝を、噛み合わせに支障のないよう底上げするような予防法です。虫歯の治療法ではなく予防法なので、すでに虫歯になっている歯は適応外です。
フッ化物塗布とは、溶けにくい歯になるようにお薬で歯にバリアをするような役割を果たします。いずれも虫歯の予防薬として、歯科医師や歯科衛生士が患者さまに施す予防法です。

小児歯科

まとめ

一度治療した歯が虫歯になりやすいということを知っている方と知らない方とでは、今後の虫歯本数に差が出るのではないでしょうか。今からでも遅くはありません。ご自身の歯を虫歯にせず、健康な歯を守りましょう。
そのためにも、歯科医院への定期的な受診で虫歯を作らない口内環境を維持することがとても大切です。