小さな虫歯、放置すると
どうなる?

はじめに

はじめに

小さな虫歯を放置するとどうなるかご存知ですか?一度虫歯になってしまうと、自然に治癒することはありません。進行度合いはその方の年齢や口腔内の環境に左右されますが、進むだけで元には戻らないのが虫歯の特徴です。小さな虫歯を放置するとどうなるか、どのような方が特に注意すればいいのか解説します。

虫歯の進行度合い

虫歯の進行度合いにはどのようなものがあるのでしょうか。大きく5段階に分けられています。

C0

歯の表面にあるエナメル質からリンやカルシウムが溶けだした状態です。表面が白濁して見えるのが特徴で、痛みはありません。この状態だと、溶けだしたミネラルが再度エナメル質の中に戻る可能性があります。それを再石灰化といいます。再石灰化が望めるため、歯科医院での処置はフッ素塗布などの経過観察になります。

C1

エナメル質表面に限局した虫歯です。虫歯の部分が茶色く変色して見えることもあります。痛みは基本的にありませんが、時々冷たいものがしみる可能性があります。エナメル質を削って、プラスチック製のレジンなどのつめ物をします。

C2

エナメル質の奥の象牙質まで進行した虫歯です。茶色く変色して見えるだけでなく、穴が開いていることもあります。冷たいものや熱いもの、甘いものなどがしみます。象牙質自体に痛みを感じる機能はありませんが、象牙細管という細い管で神経との道が通じているため、冷たいなどの刺激で痛みを感じます。レジンを詰めるか、範囲が広い場合は型を採るつめ物の処置をします。

C3

神経に達した虫歯です。中で大きな虫歯になっているケースもありますが、大きく歯冠が損なわれていることもあります。何もしなくても激しい痛みがあります。虫歯菌に感染した神経は残しておくことができないため、神経を取る処置を行います。その後、かぶせ物をして割れやすくなった歯質を保護します。

C4

神経が壊死した虫歯です。歯冠が完全に崩壊し、根っこのみが残っている状態も多く見られます。神経が壊死しているため、この状態では神経の痛みはありません。しかし、神経に感染した虫歯菌が根尖という根っこの先に感染すると、その周囲で炎症が起こります。これによって痛みが出ることがあります。神経のあった部屋をきれいに掃除し、根尖病巣があった場合はその処置も行います。こちらも神経の処置が終わった後にかぶせ物をします。

根管治療

虫歯になりやすい箇所

虫歯になりににくい場所、なりやすい場所があります。この部分は虫歯になりやすいだけでなく、進行しても気づかなかったり、深くなりやすかったりという特徴があります。

隣接面

歯と歯の間は虫歯になりやすい場所です。歯ブラシだけだと清掃がしづらく、進行していたとしても見た目では分からないためです。歯間ブラシやフロスを使い清掃する必要があります。痛みに気づいたときには神経に達してしまっていることも少なくありません。

咬合面

かみ合わせの溝も、虫歯になりやすい場所です。かみ合わせの溝は歯ブラシの先端が入りにくく、清掃不良になりがちです。特に乳歯はかみ合わせの溝が深いため、注意が必要です。また、見えている穴は小さいのに、内部で大きく広がっているケースがあるのもこの部分の虫歯の特徴です。

歯頚部

歯頚部というのは歯と歯肉の境目です。この部分は、特に乳歯の時は哺乳瓶などで、年齢が上がると歯肉の退縮などで、虫歯のリスクが高まります。特に高齢者の場合虫歯が深くなりやすく、ひどくなると歯が折れてしまう原因に繋がることもあるので注意が必要です。

虫歯が進行しやすい方

虫歯が進行しやすい方とそうでない方がいらっしゃいます。進行が早い方は小さな虫歯でもすぐに大きくなりがちなので気を付けましょう。

乳歯

乳歯はエナメル質や象牙質が薄く、一度虫歯になるとあっという間に進行します。厚みだけでなく密度もまだ薄いため、より一層リスクがあります。また「髄室」という神経の部屋が歯の占める割合に対して大きく、小さな虫歯でも神経に達しやすいのが特徴です。

小児歯科

幼若永久歯

はえたての永久歯は、数年かけて完全に成熟した永久歯へと変わります。はえたてはエナメル質の密度などが薄いため、注意が必要です。フッ素塗布で成熟を促すことができます。

まとめ

虫歯はまず作らないこと、その次に早期発見、早期治療が重要です。小さなうちに発見して治療すると削る量が少なくて済み、歯へのダメージが最小限におさえられます。虫歯を見つけたら小さくても放置せず、すぐに受診しましょう。また、ご自宅での歯磨きやチェックだけでは見つけるのが難しい虫歯もたくさんあります。定期的に虫歯のチェックを受け、虫歯で歯を失うことのないきれいな口腔内を保ちましょう。

予防歯科