保険と自費の
歯のクリーニングの違い

保険と自費の歯のクリーニングの違いについて

歯医者で受けられるクリーニングには、保険診療で受けられるものと、自費診療になるものがあります。保険診療=安価、自費診療=高価、というイメージがある人もいるかもしれません。実際、保険が適用されない分、自費のクリーニングは高価になりますが、処置の内容や目的が異なってきます。

保険と自費のクリーニングの違いを知って、その時々で自分に合ったクリーニングを選択するのが良いでしょう。

歯科治療における保険診療と
自費診療の違い

はじめに歯科治療における保険と自費の考え方の違いを解説します。

保険診療

健康保険が使える診療のことです。日本では健康保険の制度により、一定の割合の自己負担額で一定レベルの治療を受けることができます。
ただし、最低限の健康を保つための治療になりますので、最も理想的な治療を受けられるものではありません。保険診療での決められた治療方法と手順で受けなければなりません。

自費診療

金額は全額自己負担になります。治療方法は材料から手順まで自由に選択することができます。そのため「自由診療」といわれることもあります。最良な治療を自由に選択できることがメリットです。支払い金額は歯科医院が自由に設定することができます。

保険診療のクリーニング

治療内容と費用

保険診療で行うクリーニングは、歯周病の治療として行うものです。歯周病の検査を行ったあと、歯石除去を行います。その後の状態により、必要であれば歯ぐきの中に隠れている歯石や感染物質を除去していきます。

また、歯周病治療を行っている場合、2か月に1回のみ歯の表面のクリーニング(機械的歯面清掃)を行うことができます。歯石除去を行った後の歯面を滑らかにする目的のものであるため、歯の表面の着色を審美的に除去する目的ではありません。
このように、決められた範囲内で行うのが保険診療のクリーニングです。費用は保険適用で1回あたり3,000円前後です。30分程度のクリーニングになり、歯石沈着の程度によって2回〜6回程度になります。

自費診療のクリーニング

治療内容と費用

自費診療のクリーニングは、歯周病の状態に関わらず自由に行うことが可能です。 歯石除去、着色除去、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を受けることができます。PMTCとは、歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃のことで、歯みがきでは落とすことのできない細菌を除去しする方法で、むし歯や歯周病になりにくいお口の環境を整えるクリーニングです。
保険診療では難しかったタバコのヤニなどの強固な着色を除去するクリーニングも行うことができます。

費用は全額自己負担で5,000円〜10,000円程度で施術内容によって異なり、歯科医院ごとに金額設定が異なります。クリーニングにかかる時間も内容によって異なり30分〜60分程度です。
決められた手順を踏んで行う必要がないため、希望する時に希望する内容のクリーニングを受けることができます。歯科医院によっては、「時間をかけて1回で終わらせて欲しい」などの要望も受けてくれることがあります。

保険診療と自費診療どちらを
選択すればいいの?

どちらの治療方法を選択するのが良いのかは、お口の中の状況を踏まえた上で判断するのが良いでしょう。自身の希望を歯科医師や歯科衛生士に伝え、どのように診療を進めていくのが良いか相談するようにしましょう。ここではいくつかの例を紹介します。

歯周病が進行している場合

お口の中の状態によりますが、最初は保険診療の手順に沿って治療を進めていくのが良いでしょう。ただし、希望の治療回数で済ませたい場合や、積極的に治療を進めたい場合、最新の技術や薬剤を取り入れたい場合には、自費診療のクリーニングが良い場合もあります。

お口の汚れが気になるため月に1回クリーニングして欲しい場合

このような場合は、保険診療は適用になりません。保険診療の場合は一定の期間を空けながら、順序通りにクリーニングを進めなくてはなりません。希望する場合には自費診療になります。

タバコのヤニを除去して欲しい場合

このような場合は、審美目的のクリーニングなので、保険診療は適用になりません。保険診療でのクリーニングでも、歯周病の治療を行う中で多少の着色が除去されることはありますが、完全除去したい場合には自費診療になります。
また歯自体を白くしたい場合には、クリーニングでは白くなりません。歯のホワイトニングを受けることで歯自体の色を白くすることができます。希望の場合には、歯科医師・歯科衛生士に伝えるようにしましょう。

まとめ

このように保険と自費のクリーニングでは、クリーニングの手順や内容に違いがあります。
どちらの方が良いということはありません。お口の中の状況で判断をしていくのが良いでしょう。歯科医師・歯科衛生士に希望を伝え、その時々で適したクリーニングを選択するようにしましょう。