小児歯科のよくあるご相談
子育てしていると「子供の歯のことで分からないことが多い!」と相談を受けます。「子供が歯磨きを嫌がり困っている」といったお悩みから「自分の歯がむし歯だらけなので子供の歯を守りたいけどどうしたらいいの?」とご家庭により小児歯科に関わるお悩みは様々です。そんなご質問の中から特に多い質問に回答していきます。
なお、子供の成長や歯の質には個人差があります。心配な方はかかりつけ歯科医院に早めに相談しましょう。
赤ちゃんが生まれた時から歯が生えていることはありますか?
生まれたときから歯がもう既に生えていたり、生後1か月以内に生えてくる歯を魔歯、または先天性歯とよびます。
生える部位としては前歯が多く、生えてくる詳しい原因は今のところ分かっていません。授乳の際にお母さんの乳首を傷つけてしまう恐れがあるため、必要であれば歯科医院で少し削ってもらいましょう。場合によっては抜歯を行うこともあります。抜歯をしても永久歯が控えている場合は時期になると生えてくるため、心配いりませんが歯科医院でよく相談しましょう。
子供が上の前歯を磨くと
痛がりますがどうすれば
いいでしょうか?
お子様が歯みがきで痛がる原因のひとつに、上唇小帯を歯ブラシの毛先で傷つけていることがあげられます。
上唇小帯とは、歯ぐきと唇の境目あたりにある縦に伸びているスジです。
小帯の長さや太さには個人差があり、中には歯の近くまで小帯が伸びていることもあります。歯の近くにある小帯は、歯みがきの際に巻き込まれやすいため、注意が必要です。
仕上げみがきをお子様が嫌がる場合は、歯ブラシで小帯を傷つけていないかをまずは確認しましょう。仕上げみがきをするときは、片方の人差し指や中指で小帯を隠すなど、保護した状態で磨くことをおすすめします。
乳歯の治療でも銀歯を入れる
ことはありますか?
むし歯が小さければレジンという白いつめ物をし、大きければ銀歯を被せたり詰めたりすることもあります。
銀歯を被せることで、歯の生え変わりに影響があるのではと心配される方もいらっしゃいますが、影響しないといわれています。銀歯は乳歯と一緒に取れて、その後は、控えていた永久歯が通常は生えてきます。
ただし、銀歯を被せる際に神経を抜いている場合は、生え変わりのタイミングでうまく乳歯の根っこが吸収されずに、永久歯が横からずれて生えてくる可能性があります。
指しゃぶりを辞めさせたほうが
いいですか?
歯並びが悪くなる原因といわれる指しゃぶりですが、絶対にしてはいけないものではありません。
多くの場合、3歳まで続き、その後自然となくなります。
4歳〜5歳になると指しゃぶりをする子はだいぶ減りますが、必ずしも全員がそうとは限りません。
注意すべきは6歳以降です。6歳を過ぎると自然にやめることは難しいとされており、歯の生え変わりも始まるため、何らかの対策が必要になります。
ご心配な方は、歯の生え変わりが始まる前の5歳頃に、小児科医や小児歯科医、臨床心理士に相談することをおすすめします。
乳歯につけた銀歯が取れました。どうしたらいいですか?
乳歯であっても銀歯やつめ物が取れた場合は、歯科医院で診てもらう必要があります。理由は、むし歯でかぶせ物やつめ物が取れることは珍しくないためです。
乳歯は永久歯よりもむし歯の進行が早いため、
取れた場合はできるだけ時間を空けずに受診しましょう。
銀歯の場合、中の状態に問題がなかったり、取れたものに変形などが見られなければ、そのまま付け直しができることもあります。取れた物は捨てたりせずに歯科医院にお持ちください。
子供の歯がすきっ歯ですが
大人の歯になっても
このまま
すきっ歯でしょうか?
乳歯の時期にすきっ歯だと心配される方も多いですが、隙間があることで乳歯よりも大きい永久歯がきれいに並んで生える確率が高くなります。
しかし中には、永久歯に生え変わった後も隙間ができる方がいらっしゃいます。永久歯列の隙間は、矯正治療で歯を動かす、もしくは隙間がそこまで大きくないケースでは、一部かぶせ物やつめ物をして隙間をなくす場合も
あります。
歯みがきはいつ始めたら
いいですか?
歯みがきを始めるタイミングは、初めて歯が生えたときです。しかし、小さなお子様のお口の中はとてもデリケートで、歯ブラシの毛先の刺激に慣れるまでに少し時間がかかります。
歯が生える前から、ガーゼを巻いた指でお口の中を撫でるなどしてあげると、お子様が触られる感覚に慣れることができ、歯みがきもスムーズにしやすくなります。
子供が歯をぶつけてしまいましたがどうしたらいいですか?
お子様が歯をぶつけてしまった場合の対処法は、そのときの状態によって異なります。
見た目に異常がなければ経過観察となる場合もありますが、時間が経った後に歯ぐきの腫れや変色、衝撃が強ければ歯の神経が死んでしまうケースもあります。
自己判断はせずに、できるだけ早めに歯科医院へ受診することをおすすめします。また、ぶつけたときに歯が欠けたり、グラつきが見られる場合は、歯の神経の損傷や歯の脱臼が起こっている可能性があるため、早急に処置が必要です。
子供の歯が抜けたとき歯ブラシ
を当ててもいいですか?
乳歯が抜けた部分の歯ぐきは、穴が塞がるまで触らないようにしましょう。一方で、抜けた部分の両端の歯は、横の面までしっかりと磨く必要があります。
その理由は、両端の歯が汚れていると歯ぐきが腫れてしまい、抜けた後の穴がきれいに塞がらない原因となるためです。抜けた部分以外を丁寧に磨いて、きれいなお口を維持しましょう。
まとめ
乳歯の生えるスピードが早かったり、指しゃぶりや歯並び、お手入れ方法など、小児歯科に関するお悩みは沢山存在します。
主に歯並びや治療に関するご相談を受けることが多いですが、指しゃぶりについては病気ではないため、相談することを躊躇してしまう方がいらっしゃいます。しかし、躊躇する必要は全くございません。
不安を抱えずに子育てができる環境作りが、なにより大切です。どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。