小児のブラッシング中の
歯ブラシ事故

小児のブラッシング中の
歯ブラシ事故について

歯ブラシを咥えたまま転倒したり、ぶつかってしまい、口の中や喉を傷めてしまう歯ブラシ事故をご存知ですか?

体の重心が安定しない低年齢幼児に多く見られ、ご家族が目を話した隙に起きてしまうケースがほとんどです。
しかし、お子様の様子を常に観察することは現実的に厳しく、事故が起こりにくい防止用の歯ブラシも増えて
きました。

歯ブラシ事故が起こる頻度や事故を防ぐ方法、事故が起きた場合の対象法を正しく理解し、お子様の安全を守りましょう。

歯ブラシ事故の現状

歯ブラシ事故が起こりやすい年齢は1歳〜3歳で、体の重心がまだ安定せずに転倒しやすいことが理由として挙げられます。

5年間で120件もの事故が起きており、歯ブラシを咥えたまま移動したり、兄弟とじゃれ合っている時、柔らかいソファーの上からバランスを崩して転倒し、怪我をしてしまうケースもあります。

半年以上の通院や入院が必要なほどの大けがを負う場合もあるため、充分な注意が必要です。

歯ブラシ事故を防ぐ方法

歯ブラシ事故を防ぐには、お子様に以下の2点をしっかりと理解してもらう必要があります。

  • 歯磨きは床や椅子に座った状態で行う
  • 歯ブラシを咥えたまま移動しない

しかしいくら大切なこととして伝えても、お子様がすぐに実行に移せるとは限りません。ご本人が歯ブラシの危険性を理解できるまでは、以下の方法と合わせて工夫することをおすすめします。

1. のど突き防止の歯ブラシを使用する

通常の歯ブラシとは違い、ヘッドの部分がとても柔らかく作られていたり、深くまで咥えられないようストッパーがついていたりなど、事故を未然に防ぐためにデザインされた歯ブラシがあります。

使用することで事故が起こる可能性は下がりますが、メリットだけではありません。ストッパーがついている歯ブラシには、一番奥の歯に毛先が届かない物もあり、その場合仕上げ磨きをするときは通常の歯ブラシを使う必要があります。

2. 歯ブラシは歯磨きのときだけ
持たせる

歯ブラシ事故を防ぐには、お子様が歯ブラシを持って歩き回るシチュエーションを作らないことが、なにより大切です。

『目を離した隙に、いつの間にか歯ブラシを咥えていた』というケースもあるため、歯ブラシの置き場所にも注意しなくてはいけません。歯ブラシは、お子様の手が届かない場所に保管して、近くに脚立代わりになるものがないかの確認もしましょう。

3. 歯磨き嫌いにしない

歯ブラシ事故の直接的原因にはなりませんが、歯磨き嫌いな子は、歯磨きの最中に暴れまわったり、逃げようとする傾向があります。

落ち着いた状態を維持してもらうためにも、歯磨きの時間が『嫌な時間』と思われないようにする必要があります。よくあるのが、仕上げ磨きが痛いというものです。

子供用の歯ブラシの毛先は元々硬めに
作られている

子供用の歯ブラシは、弱い力でも汚れを落としやすくするために毛先が硬めに作られているものがほとんど
です。

仕上げ磨きをする方が、ご自身の歯を磨くときと同じ力で子供用の歯ブラシを動かしてしまうと、歯ぐきを傷つけてしまい、痛みを与えてしまう恐れがあります。仕上げ磨きをする際は、通常よりも弱い力で行う、もしくは仕上げ磨き用に柔らかめの歯ブラシを用意することをおすすめします。

上唇小帯を傷つけていないかの確認も

唇の裏側には、小帯と呼ばれる唇と歯ぐきを繋ぐ縦筋があります。小帯の形には個人差があり、なかには乳歯の近くまで伸びている子もいます。仕上げ磨きの際に、小帯を巻き込んでしまい、その傷が口内炎になって歯磨きが嫌いになるケースは珍しくありません。

歯ブラシ事故が起きた場合の
対処方法

歯ブラシ事故が起きたときは、まずお子様のお口の中や喉奥に傷や出血がないかを確認しましょう。見えづらい場合は、スマートフォンのライトなどを使用することで、しっかり確認することができます。

傷や出血がある場合

小児歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科を受診し、適切な処置を受ける必要があります。歯ブラシが奥まで刺さっていた場合は、無理やり抜くことはせずに、救急車を呼んでください。

傷や出血がない場合

仮に傷などが見られない場合でも、2〜3日はお子様の様子を細かく観察して、異常があればすぐに対処できるようにしておきましょう。

まとめ

歯ブラシ事故は、体の重心が安定しない低年齢幼児に多く見られ、通院や入院が必要になるほどの大けがを負う恐れがあります。お子様が一人で歯ブラシを咥えている時間を作らないことが最も大切で、『座って磨く』という日常の声掛けは非常に重要です。しかし、必ずしも伝えたことをお子様が守れるとは限りません。

より安全性を高めるためにも、のど突き防止の歯ブラシの使用や、お子様の手が届かない場所に歯ブラシを保管するなどの工夫をしましょう。それらの工夫をすることで、お子様だけでなく、ご家族の心の安心にも繋がります。